ノーログポリシーとは何か?
ノーログVPNを使えば完全に匿名になれるのか?ノーログVPNを使っているはずなのに身元を特定され逮捕される人がいるのはなぜか?
本記事ではNordVPnのプライバシーポリシーとノーログポリシーを詳しく解説した後で、それらの疑問に答えます。
NordVPNで匿名性を高めたい方は必読です。
ポリシーに関する細かい解説は飛ばして核心部分を読みたい方は「よくある質問とその答え」をご覧ください。
本記事で解説すること
- ノーログポリシーについて
-
NordVPNは通信・行動ログ(接続先、閲覧URL、DNSクエリ等)を保存しない。
ただしアカウント/決済/サポート用の管理情報は別枠で必要最小限保する。
- 専用IP(Dedicated IP)
-
専用IPは利便性重視の機能。アカウントに紐づくため匿名性は低下する。
- 匿名性について
-
ログイン中のWebサービス、クッキー、決済情報、ブラウザフィンガープリントなどVPN外の手がかりで特定され得る。
- 公式情報
-
- プライバシーポリシー(NordVPN)→ https://my.nordaccount.com/legal/privacy-policy/nordvpn/
- 追加利用規約(No-Logs含む)→ https://my.nordaccount.com/legal/terms-of-service/nordvpn/
Nordのプライバシーポリシーの解説
NordVPNのプライバシーポリシーは次のページに掲載されています。
https://my.nordaccount.com/legal/privacy-policy/nordvpn/
このプライバシーポリシーは、Nordのウェブサイト、アプリ、サービス(NordVPN を含む)において、ユーザーから収集・処理される個人データや情報の取り扱い方を定めたものです。
つまり「Nord がユーザーから何を収集し、どう使い、どう管理するか」を明記して、ユーザーの権利保護を図る法的文書です。
収集するデータの種類
プライバシーポリシーでは、以下のようなカテゴリの情報を収集する可能性が示されています。
| 種類 | 具体例 | 用途 |
|---|---|---|
| 登録情報/アカウント情報 | 名前、メールアドレス、支払い情報など | アカウント管理、サブスクリプション決済、本人確認 |
| サービス利用情報 | 接続回数、使用デバイス、VPN プロトコル情報など | サービス品質維持、技術的最適化、障害対応 |
| ログ・診断データ | エラーメッセージ、クラッシュレポート、アプリ動作データ | バグ修正、アプリ改善、サポート対応 |
| クッキー・追跡技術 | ウェブサイト閲覧履歴、IP アドレス、ブラウザ情報など | ウェブサイト機能、ユーザー体験向上、広告最適化(Cookie ポリシーとの連携) |
「クッキー」が指しているのはNordの自社ウェブサイト上のものです。
Nordのプライバシーポリシーでいう「Cookies」や「Tracking Technologies」は、次のようなケースを対象にしています。
・nordvpn.com や nordaccount.com などの 公式ウェブサイト
・Webブラウザ上でのアカウント管理ページ(ログイン、購入、設定変更など)
・NordVPNアプリの マーケティング・分析関連モジュール(例:インストール元のトラッキング)
つまり「あなたが NordVPN のサイトやアプリを操作するときに、Nord があなたの行動を把握するために使うCookie」ということです。
データの使用目的
Nord は収集した情報を、以下のような目的で利用すると定めています。
- アカウント作成・サービス提供・契約管理
- 課金・支払い処理、請求関連
- サービスの維持および改善(品質管理、セキュリティ対策)
- 不正行為の検知と対応(詐欺防止、利用規約違反対応など)
- ユーザーサポート対応、通知連絡
- 法令順守・法的請求対応
データ共有・第三者提供
プライバシーポリシーでは、Nord がユーザー情報を第三者と共有する条件も明記されており、以下のようなケースがあります。
- 法的義務・命令
-
裁判所命令・法令に基づく要求がある場合
- 協力先・サービスプロバイダ
-
決済処理業者、サーバーホスティング、分析サービス、サポート業者など、契約ベースで必要最小限の情報を提供する場合
- 匿名化データ
-
個人を特定できない形に加工した情報を統計目的などで共有する場合
ただし、Nord は「通信内容のログ」「閲覧サイトなどの行動データ」を第三者に提供しないというノーログ方針を掲げており、これがプライバシーポリシーの裏付けになっています。
データの保持期間と削除
Nord は、利用目的を達成するために必要な最短期間でデータを保持すると規定しています。また、ユーザーがアカウントを削除・解約した場合には、関連データを削除または匿名化する措置を取るとされています。
ただし、法的義務や紛争対応等の理由で、一定の情報を保存する場合も例外として認められています。
ここでいう「一定の情報を保存する場合も例外として認められています」については、公開情報から判断すると、NordVPN が例外的に保存/提供しうるデータは、アカウント管理・支払い・サポート記録・システム診断情報・認証情報など、通信内容そのものではないメタ情報・管理情報です。
裁判令状・法令要求への対応がある場合、最も提供されやすいのは「支払い情報・アカウントの存在確認」などの範囲で、通信ログなどはそもそもないという主張があります。
ただし、すべてを白黒断定するのは難しく、VPN事業者の実際の運用体制・監査報告・法令環境などによって変動し得ます。
ユーザーの権利
ユーザーには、自身の個人データに関して一定の権利が認められています。主に以下のようなものです。
- アクセス権
-
自身の情報がどのように扱われているかを確認する権利
- 修正・更新権
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誤った情報を訂正する権利
- 削除権
-
利用停止・解約後にデータ削除を求める権利(ただし法的義務に抵触しない範囲で)
- 処理制限・異議申し立て
-
特定処理に異議を申して停止を求める権利
- データポータビリティ(移転権)
-
自身のデータを他社に移す権利
- オプトアウト権
-
広告・マーケティング目的での利用を拒否する権利
セキュリティ対策
Nord は、ユーザー情報を保護するための技術的・組織的安全措置を講じると明言しています(暗号化、アクセス制御、内部セキュリティポリシーなど)。
ただし、インターネット上での通信には完全な安全性を保証することはできないため、ユーザー自身の注意も必要であるという旨も例示されています。
国際データ転送
Nord は、国や地域を跨いだサーバー運用をしており、ユーザーのデータが異なる国へ転送される可能性があります。
この場合、適用されるプライバシー保護法令や適切な保護措置(標準契約条項など)を講じるとしています。
変更通知と更新
プライバシーポリシーは更新されうるものであり、Nord は改訂がある場合にはその旨を通知するか、更新日を明示する義務があります。
ユーザーが最新ポリシーを定期的に確認する必要があるという旨で、ポリシーへの同意が継続利用の条件になる場合があります。
NordVPNのノーログポリシーの解説
NordVPNのノーログポリシーは次のページに掲載されています。
https://my.nordaccount.com/legal/terms-of-service/nordvpn/
この文書は、NordVPNの利用に適用される追加条件をまとめたもので、以下の6章から構成されています。
- NordVPNサービスの概要
- ノーログポリシー
- 利用者の行動規範
- 詐欺電話保護機能(Scam Call Protection)
- 不正利用通報の受付窓口
- DSA(デジタルサービス法)関連の問い合わせ窓口
特に第2章と第3章は、NordVPNの「匿名性」と「法令遵守ポリシー」の両輪を定義しており、利用者にとって最も重要な箇所です。
本記事では2章と3章について解説します。
2章 No-logs policy(ノーログポリシー)の詳細解説
目的と約束の範囲
- 目的
-
VPNの本質である「プライバシー」を守るため、利用中の行動を記録しないことを契約上の約束として明示しています。
- 約束の範囲
-
あなたがNordVPN経由で通信している間のアクティビティ(どこへアクセスしたか、何を送受信したか等)について以下の4点を約束しています。
- 監視しない
- 記録しない
- ログ化・保存しない
- 第三者へ渡さない
これがノーログポリシーの核心部分です。
自動化プロセス
「サービスは自動化されたプロセスで提供」しており、人手での常時監視や恒久ログの作成を前提にしない設計としています。
実運用では接続の管理に最低限必要な情報は接続中のみメモリ上で扱い、切断後に消える(永続保存しない)前提で設計されます。
重要なのは、あとから遡るための履歴が残らない点。これがノーログの実効性につながります。
「ノーログ」に含まれない情報(誤解が多いポイント)
ノーログは「通信・行動の記録」を対象にした約束です。一方、サービス提供や決済・サポートに不可欠なアカウント層の情報は別枠で扱われます。
| レイヤー | 代表的な情報 | ノーログの対象? | 用途の例 |
|---|---|---|---|
| 通信・行動レイヤー | 接続先、閲覧URL、DNSクエリ、通信内容、接続時刻/滞在時間 等 | はい(記録しない) | プライバシー保護の核心 |
| アカウント/課金レイヤー | メール、課金情報、購読プラン、同時接続台数の制御 | 対象外(必要最小限を保持) | 認証・請求・不正対策 |
| 品質・診断レイヤー | クラッシュログ、アプリ版数/OS種別 等(通信内容は含まない) | 対象外(運用上の最小限) | 障害対応・改善 |
要するに「通信や行動は残さない」が、「アカウントが存在する事実や決済記録まで消す」という意味ではありません。
専用IP(Dedicated IP)の注意点(条文の例外)
専用IPはメールアドレス(=アカウント)と紐づくため、IPベースの振る舞いがアカウントと結びつき得る点(トレースされる)が条文で明確に警告されています。
ここでいう「トレース」は、Nordが行動ログを保存するという意味ではなく、専用IP=特定アカウントの識別子になり得るという構造上の性質を指します。
そのため、匿名性最優先なら共有IPの利用が無難です。
3章 行動規範の詳細解説
基本方針:違法・不正利用の禁止と自己責任の原則
- 何を禁じている?
-
犯罪、違法、詐欺、その他不正目的での利用を全面的に禁止しています。具体的には次のような行為が該当します。
- 著作権侵害(違法ダウンロード・トレントなど)
- ハッキングや不正アクセス
- 詐欺・フィッシング行為
- マルウェアの拡散
- 不法な取引(麻薬・違法物品・闇サイトの運営など)
- サイバー攻撃(DDoSなど)
つまり、「VPNを使っていれば匿名だから何をしてもバレない」と考えるのは間違いであり、VPNの匿名性を悪用した行為は利用規約違反かつ犯罪行為になるということです。
- 誰の法律を守る?
-
あなたに適用される法を守る義務はあなたにあると明言しています。VPNは国境を越えるため、居住地/アクセス先の双方の法規・契約(配信規約など)を理解する責任がユーザー側にあります。
例:一部の国・サービスはVPNの利用自体や地域制限回避を禁止・制約していることがある。
一般利用規約との関係
この行動規範は総則(General Terms)の「禁止・制限用途」条項と一体で運用されます。
つまり「通信の中身は見ない=何をしてもよい」ではなく、利用態様が規約の対象になります(スパム、攻撃、迷惑行為等)。
違反時の措置:予告なしでの停止・終了が可能
NordVPNは、利用者が法律または利用規約に違反した場合、予告なしにアカウントを停止・削除できる権利を持っています。
次のように明記されており、「1回だから大丈夫」という言い訳は通用しません。
- 一度の違反でも対象になる(「repeated violation or a single instance」)
- 繰り返し違反した場合は「リピーター」として即時終了の対象
停止のトリガーは、外部通報・異常挙動・決済不正など、通信ログ以外の根拠でも成立し得ます。たとえば、同時接続数の常習的超過、DDoS/スパムの発信源としての検知、支払い詐欺、第三者からの濫用通報 などがあります。
ノーログでも、接続中セッションの管理情報(短期メタデータ)は存在するため、今まさに接続しているユーザーの切断やブロックは可能となります。
ただし履歴追跡のための恒久ログは持たない(=後追い調査はできない)設計となっています。
権利留保:アカウント停止に限らない救済
規約は「停止・終了は他の法的権利や救済を制限しない」と明記しています。たとえば、違法行為が悪質なら当局への通報や民事措置等の可能性は常に残ります。
ここでも「ノーログ=違法行為の免罪符」ではない、という姿勢がはっきり示されています。
2章と3章のまとめ
2章と3章をまとめると次のようになります。
| 観点 | 2. ノーログポリシー | 3. 行動規範 |
|---|---|---|
| 本旨 | 通信・行動ログは一切保持しない | 違法・不正利用は厳禁、法令順守はユーザー責任 |
| 境界 | “通信ログ”と“アカウント/課金/運用情報”は別物 | 一般規約の禁止・制限用途が併用される |
| 例外 | 専用IPはアカウントと紐づき得る(匿名性の低下) | 予告なしの停止・終了、反復違反・単発重大違反も対象 |
| 実務 | 共有IPで匿名性重視、周辺対策(Cookie/リーク対策) | 規約・地域法の遵守、外部通報等での対処に留意 |
よくある疑問とその答え
NordVPNのプライバシーポリシーとノーログポリシーについて解説しましたが、長くて途中で読むのが面倒になった方や読んでいて疑問を感じた方も少なくないでしょう。
そこで、NordVPNの匿名性についてよくある質問をまとめました。
NordVPNがログを保存していないのであれば、違反してもアカウントを特定きないのでは?
利用者が法律または利用規約に違反した場合、予告なしにアカウントを停止・削除できる権利を持っているということですが、これは一見すると矛盾しています。
NordVPNがログを保存していないのであれば、利用規約に違反したのがどのユーザーなのか分からないはずです。
「ノーログなのに、どうやって違反ユーザーを特定して停止できるのか?」
これはVPNサービスの「ノーログポリシー」を正しく理解するうえで、最も誤解されやすいポイントのひとつです。
結論から言うと、「ノーログ」と「ユーザー識別・アカウント管理」は別のレイヤー(層)の話 なので、矛盾しません。
まず、NordVPNが「記録しない」と宣言しているのは、
- 接続中のトラフィックの内容(どんなサイトを見たか、どんなデータを送受信したか)
- 接続先のIPアドレスやDNSクエリ
- 通信のタイムスタンプや滞在時間
など、「VPNトンネル内で発生する通信データ」に関するログです。つまり「あなたがVPNを通じてどんなことをしたか」は残さないという意味です。
一方で、「アカウント情報」は別枠で存在します。VPNを利用するには必ず以下のようなアカウントレベルの情報が必要です。
| 区分 | 目的 | ノーログの対象? |
|---|---|---|
| メールアドレス | サブスクリプション・サポート対応 | ❌ 対象外 |
| 決済情報(クレカ・PayPalなど) | 継続課金の処理 | ❌ 対象外 |
| ライセンス・アクティベーション情報 | サービス利用の認証 | ❌ 対象外 |
| 同時接続台数(10台まで等) | 不正利用防止 | ✅ 一時的なセッション監視のみ |
| 通信ログ(接続元IPや閲覧先) | ユーザーの行動データ | ✅ 完全ノーログ(保存されない) |
つまり「誰が契約しているか」は分かるが、「その人が何をしたか」は分からないという構造です。
では、どうやって「規約違反ユーザー」を特定できるのか?
ここがポイントです。
VPN事業者がユーザーを特定してアカウント停止できるのは、「行動の証拠」を自社のログではなく、外部から得ることができる場合に限られます。
たとえば次のようなケースがあります。
| 典型的なシナリオ | NordVPNが把握できる根拠 |
|---|---|
| 同一アカウントから異常な接続(例:100台の端末で同時利用) | 同時接続数の超過を検出する「セッションメタ情報」 |
| 第三者(ウェブサイト・企業・権利者など)からの通報 | 通報内容と特定のVPN出口IPアドレスを照合 |
| 決済詐欺・チャージバックなどの金融不正 | 決済履歴やアカウントメール情報で特定 |
| スパム・攻撃トラフィックがVPN出口から検出 | 該当サーバーを一時停止 → 該当サーバー経由での接続アカウントをブロック(リアルタイム監視) |
つまり「どのサーバーを通って」「どんな行為をしたか」はログ化されていないものの、VPN出口ノード(エンドポイント)で異常な通信が観測されたときに、その時点で接続していたセッションを一時的に識別できるのです。
この識別情報は、永続的に保存されるログではなく不正防止や運用管理のための一時的メタデータ(RAM上の短期情報)として扱われます。
「ノーログ」と「リアルタイム検知」は両立できる理由
「ノーログ」とは「通信終了後に記録を保持しない」という意味です。
したがって、次の内容は矛盾しません。
- 通信中に異常を検知して遮断する
- 一時的にセッション情報を参照する
つまり、NordVPNは「過去の履歴を残さない」のであり「今起きている挙動をまったく見ない」わけではない、ということです。
実際のアカウント停止までの流れ(例)
例として「サーバーの侵害」がVPN経由で行われた場合の流れです。
- 他社や被害者から「特定のVPN出口IPから侵入されている」と通報
- NordVPNはその出口IPを提供しているサーバーを確認
- 当該サーバー上でリアルタイムに接続しているセッションを識別(短期メモリ上のデータ)
- 該当セッションのアカウントを即時停止(サーバー側から遮断)
- サーバー側のログはその後削除され、永続的には保存されない
ハッカーが特定の企業や大学などのサーバーを踏み台にして攻撃を繰り返しているようなケースでは、捜査機関がそれらのサーバー上で通信状態をリアルタイムに監視し、それによってハッカーのVPNアカウントが追跡される、という可能性があります。
ハッカーの溜まり場となっているサーバーが捜査機関の監視対象となっていて、接続中のセッション情報からVPNアカウントが特定されるというケースはよくある話です。
そのため、匿名化を徹底しているハッカーは複数のVPNサービスを経由したりTor経由でVPN接続したり、複数の踏み台サーバーを使い分けるといった対策をとることが多いです。
「VPNを使えば何をしてもバレない」は本当?矛盾しない?
正しくは「VPN事業者は記録を残さないが、他の要因でバレる可能性はある」という理解が正しいです。
ノーログ=通信内容を記録しない、匿名性=第三者から識別されない、という意味であって、この2つは異なる概念です。
多くの方は匿名性についてIPアドレスに注目しますが、身元の特定に至るには他にも注意を払うべきものがあります。
VPNを使っているにも関わらず身元が特定されるのは次のようなケースがあります。
- ウェブサイトにログインしている(Googleアカウント、SNSなど)
- クッキー・追跡スクリプトがあなたを識別している
- 決済情報・クレジットカード情報が登録されている
- ブラウザフィンガープリントが取得されている
VPNの外であなたを特定する情報が残っていれば、匿名性は失われます。
リアルタイムと履歴、どこまで特定可能か?
リアルタイムであれば、接続中のセッションを扱うサーバー上で「どのアカウントが接続しているか」という情報は把握可能です。
ですが、接続が終わった後にどのような通信を行ったかを遡るログは存在しないという設計です。
- 接続中 → 特定可能(サービスの管理・制御ができる)
- 接続終了後 → 特定できない(履歴は残らない)
この設計こそが、ノーログポリシーと不正利用防止を両立させるカギです。
専用 IP(Dedicated IP)を使うとどうなる?
利用規約にも記載があるように、専用 IP は「あなただけに割り当てられる固定の IP アドレス」です。この場合、次のようなリスク・注意点があります。
- 専用 IP はアカウント(メールアドレスなど)と紐付けられている
- そのため、特定の行為がその IP を通じて行われると、アカウント情報と結びつく可能性
- 匿名性や不可追跡性は、共有 IP の場合に比べて低くなる
つまり、専用 IP を選ぶときは「匿名性よりも利便性(銀行アクセス、VPNブロック回避など)」を重視する用途向きです。
ノーログでも注意すべきこと・匿名性を高める工夫
ノーログがあるからといって「完全無敵」というわけではありません。匿名性をより高めるためには、以下の点にも注意しましょう。
- WEBサービスにログインしない(Google や SNS に接続しない)
- クッキー・追跡防止ツールを使う
- WebRTC や DNS リーク対策を行う
- 匿名決済(仮想通貨、プリペイドなど)を使う
- Tor ブラウザや匿名 OS(Tailsなど)との併用
- メールアドレスも匿名性の高いものを使う
- 長時間VPN接続しない
- 複数のVPNサービスを経由させる、あるいはTorを経由してVPN接続する
これらを併用することで、VPN+ノーログだけでは補えない部分を補強できます。
参考記事
まとめ:ノーログポリシーは完全無欠か
NordVPN のノーログポリシーは通信内容や行動記録を残さない強力な設計であり、プライバシー保護の基盤となります。
NordVPNは外部監査機関(PwCなど)によって何度もノーログポリシーを実証されていることもあり、非常に匿名性が高いVPNサービスであると言えるでしょう。
ただし、それだけで「何をしてもバレない・追跡されない」というわけではありません。リアルタイム制御やアカウント管理は別枠で動き、外部情報や内部設計が匿名性を揺るがす可能性もあります。
VPNを選ぶうえでノーログポリシーは非常に重要な指標ですが、その限界と落とし穴を理解して使うことが肝心です。

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